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古典ヨーガについて(1)歴史と背景

2020年1月6日

 LilaBhuwanaでは主に、古典ヨーガを中心として指導を行っています。これから何回かにかけて、古典ヨーガについて解説していきたいと思います。

 今、世界をはじめ、日本でもよく目にするヨガといえば、いろいろなポーズ(アーサナ)を連続的に行っていくヨガでしょう。それは、ハタヨガを基にした現代的なヨガになります。「〜ヨガ」という名前だけみれば、近年では30種類以上もあると言われますが、パワーヨガ、アシュタンガ、ヴィンヤサ、アイアンガーなど比較的有名な各種ヨガも、ハタヨガの影響を強くうけつつ、ハタヨガをアレンジしたものといえます。

 ポーズを重視した現代的なハタヨガは、おおよそ2000年くらいから、身体的な美しさとナチュラル志向のライフスタイルを求めるハリウッド女優経由で一般的になってきました。同時に、消費カロリーを増やしたりストレッチ効果を高めたりする「ホットヨガ」にアレンジされたりと、ヨガに接する機会が身近なものになっています。いずれも、若い女性が綺麗なポーズを柔軟にこなしている姿がシンボルとなり、それが広告として使われて、雑誌やテレビ、インターネットでもよくみるようになりました。

 このような広まりを見せる現代のヨガですが、「あんなふうに綺麗になりたいな」と憧れを抱く人がいる一方で、「ポーズが難しそう」とか、「私は体が硬いから無理そう」とか、「汗をかくのはちょっとな」というように、ヨガを敬遠する原因をつくってしまっているという点を考えると、現代のハタヨガには、メジャーになってきたがゆえの難しさもあるのかもしれません。

 しかしもともとのハタヨガは、15、16世紀あたりに遡ることができるのです。そう考えるとハタヨガには500年の歴史があるので、それはそれで古典と言えそうですよね。でも、古典ヨーガの歴史はもっともっと古く、遡ると4000年あるいは5000年くらい前、インダス文明以前に起源をもとめたりします。

 ときどき、ヨーガは宗教なのかなと訝しがられることもあるのですが、そもそも今よく知られているメジャーな宗教の歴史は1500年から2000年くらいですので、そのような、私たちが「宗教」といったときに思い出すようないわゆる宗教と比べても、古典ヨーガははるか昔からなされてきたものといえます。

 そうはいっても、いくらなんでもそんな昔のことが伝わっているわけがない、という考え方もできます。確かに、私たちが一般的に触れることができる古典ヨーガは、パタンジャリ編著の『ヨーガ・スートラ』で、紀元後2世紀から4世紀くらいに体系化されたものです。それでも日本はまだ古墳時代ですから、やはりそうとうに古いものだと言えそうです。この『ヨーガ・スートラ』に書かれていることを実践しようというのが、古典ヨーガの特徴であるといえます。